技術解説(富士フイルムメディカル)
2014年12月号
Digital Radiography(DR)を極める【動画編】
高画質透視録画装置「VC-1000」の特長(装置:VC-1000)
緒方与志也((株)日立メディコXRシステム本部ユニット設計部ソフトグループ)
従来の透視録画装置は,DVD録画装置をベースとしたコンシューマ機を使用したものが主流であった。医用電子機器のX線透視像の走査線は1024本であるが,従来の透視録画装置は走査線が525本であるため,X線透視像を記録するには走査線を半減させる必要があり,その際に画質が低下する。「VC-1000」では,透視信号を1280×1024ピクセルの解像度で記録するため,画質を劣化させることなく録画可能である。
また,透視信号のほかに外部入力(ビデオコンポジット信号)端子を備えており,透視像と同時に外部機器(内視鏡,ビデオカメラなど)の映像を表示および録画できる。VC-1000では,この外部入力端子を4系統備えており,必要に応じて切り替えることで,さまざまな機器の映像を透視と同時に表示する機能を有している。
■特長
(1) 透視像の画質を落とすことなく録画するため,検査中と同等画質の透視像を後から確認することが可能である。弊社FPD-XTVシステムに搭載されている詳細透視も高画質録画するため,検査後にガイドワイヤやステントなどを確認することも容易である。
(2) 外部機器の映像を合成し,Picture in Picture(PinP)として同時に表示させることで,内視鏡像などを見ながら同時に透視像を見ることを実現している(図1)。これにより,内視鏡と組み合わせることで,透視像・内視鏡像の位置関係をリアルタイムに把握したい,というニーズに対応している。また,PinPとして表示されている画像と,メインで表示されている画像を入れ替えたり,PinP画面の位置やサイズを変更することを,直感的なマウス操作で実現している。これらの画像は記録しているため,内視鏡像も含めて後から確認できる。さらに,X線を照射していない時はPinPの画面を大きく表示し,X線照射時には小さく表示させる機能も搭載しているため,検査中に透視像と内視鏡像を交互に見るような場合に有効である(図2)。

図1 PinPで内視鏡像を表示した例
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図2 透視に連動してPinPのサイズを変えることが可能
(3) 透視ON信号と連動して録画の開始/終了をコントロールする。X線透視像が出ている時のみの録画ファイルを1つにまとめるため,X線透視像のみのファイルが作成される(図3)。これにより,検査中はVC-1000を一切操作することなく,必要な動画が得られるため,検査に専念できる。
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図3 動画ファイルの作成
(4) 録音機能を使用することで,マイクから入力された音声も録音が可能である。嚥下造影検査では,誤嚥とならない食物と食べ方(背もたれ角度)を調べる。検査中に,介助者が述べる食物の種類を録音することで,検査後に確認できる。
◎
以上,これまで述べた機能を利用することにより,学会・カンファレンスなどで使用するX線透視像などを容易に取得するために,とても有用である。
今後は,さらに利便性を高めていくために進化させるべく,開発を継続していく。
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