東京ケアウィーク2019(3)——AI・IoT編: AIやIoTなどの最新技術から既存技術の応用まで,幅広い技術とソリューションで介護現場を支援
2019-3-1
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小池百合子東京都知事による基調講演も
行われたセミナー会場A
2019年2月6日(水)〜8日(金)の3日間にわたり,東京ビッグサイトで開催された東京ケアウィーク2019では,東1〜3ホールに介護用品,設備,リハビリ機器など介護関連製品を扱う約500社が出展し,新商品・サービスを紹介した。また,会場内には8つのセミナー会場が設けられ,基調講演や業界動向,人事や施設運営,最先端テクノロジー,職種・業態別などの多彩な専門セミナーが企画された。
展示会場では,介護分野でも開発・導入が進んでいる人工知能(AI)やIoTなどの最新技術を用いた製品やソリューションが注目を集めるとともに,他分野で利用されてきた技術やサービスを介護分野に応用・活用する提案も行われた。
(株)eWeLLは,訪問看護クラウド支援サービス「iBow」を展示し,2018年のアップデートで追加された看護計画の作成を支援する“AIおすすめ検索”機能をアピールした。標準看護計画がある病院での看護と異なり,訪問看護は利用者ごとに環境がさまざまなため看護計画を立てにくいという課題がある。この解決のために開発されたAIおすすめ検索は,全国約750事業所,6000人の訪問看護師が利用するiBowに蓄積された臨床データを学習したAIが,利用者データ(年齢,性別,傷病名,住居環境)をもとに利用者にマッチした長期・短期目標,問題点,看護内容を提案する。該当するものを選択するだけで看護計画のベースを作成することができ,訪問看護の質の標準化と向上に貢献する。
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「iBow」に追加されたAIおすすめ検索
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目標や問題点,看護内容をチェックするだけで看護計画を作成可能
(株)三菱電機ビジネスシステムは,2019年春にリリース予定の介護AI入力予測ツール「記録NAVI」を紹介した。介護記録システムはPCに手入力で記録が行われるが,入力する人によって同じ内容でも表現がバラバラだったり,書き方に差が出てしまったりして,記録が統一されていない現状がある。記録NAVIは,介護施設から集めた記録データをAI技術で解析し,記録によく使う文章や文言を例文として実装しており,整容,食事,入浴など記録するケースを選ぶと,例文が表示され,文言を候補から選ぶだけで記録を作成することができる。記録NAVIは,さまざまなベンダーの介護記録システム上で作動するため,現在使用しているシステムをリプレースすることなく使用できる。
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介護AI入力予測ツール「記録NAVI」使用イメージ(画面はNDソフトウェアの「ほのぼのNEXT」)
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例文・文言の選択や数値入力だけで介護記録を作成できるため,記録を統一化できる。
(株)NTTドコモは,介護施設向けソリューションとして,手軽に導入できる見守りシステム「みまもりCUBE」や開発中の「docomo IoTケアマネジメントプラットフォーム」を出展した。みまもりCUBEは,SIM内蔵で配線不要のカメラを居室などに設置し,事前に設定した利用者の動作を自動検知,スマートデバイスやPCに通知することで,スタッフは離れた場所から利用者の状況を確認することができる。カメラのスピーカーを通じた呼びかけも可能で,プライバシーに配慮した機能も搭載している。一方,docomo IoTケアマネジメントプラットフォームは,IoTセンサによる見守り(モニタリング)とスマートフォンによる介護記録の機能を持つソリューションで,現在,実証実験を行いながら各種センサとの連携や機能改善を進めている。スマートフォンアプリとして開発している介護記録機能は,バイタルや申し送りをフリック入力や音声入力で簡単に登録でき,スタッフ間で瞬時に共有できる。
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手軽に導入できる見守りシステム「みまもりCUBE」
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「docomo IoTケアマネジメントプラットフォーム」アプリ画面イメージ
インフォコム(株)は,各種IoTセンサを統合し,利用者の状況把握することで安全性の向上や業務負荷の軽減に貢献する「ミマモア」を展示し,新しく追加された機能を中心に紹介した。従来のドアセンサに加え,離床センサや温度,湿度センサに対応した。ベッドに敷くタイプの離床センサは,離床検知だけでなく寝ている状態も把握でき,居室に行く必要があるかの判断に役立つ。また,今後ミマモアに追加予定の生体センサ「SensingWave」〔凸版印刷(株)〕も紹介した。SensingWaveでは,リアルタイムに心拍・呼吸データを取得し,睡眠状況を解析することができ,夜間の適切な介助,スタッフの負担軽減に貢献すると期待される。
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対応センサが追加された「ミマモア」
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心拍・呼吸をモニタリングできる生体センサ「SensingWave」
群馬電機(株)は,公共現場で使用されるLED表示器や,人を感知し音声メッセージでアピールする音声POPなどで長年の実績があり,2015年からは介護福祉分野の商品開発に取り組んでいる。会話型ロボット「ファミリーコミュニケーション」シリーズは,内蔵された約500通りの音声で会話を楽しめるほか,メッセージの録音・再生機能により,服薬をうながすといったメッセージを指定した時間に自動再生することができる。また,販促商品として展開してきた音声POP「G-vo」や「モバイルトークミニ」を医療機関・介護施設で利用する提案を行った。医療機関では手指アルコール消毒や禁止事項の呼びかけ,介護施設では玄関付近に設置し,外出申請を誘導するといった利用法を紹介。モバイルトークミニは乾電池式で持ち運び自由なため,利用者送迎時の車内などでも利用できる。
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会話型ロボット「ファミリーコミュニケーション」シリーズ
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音声POP「G-vo」(左)や「モバイルトークミニ」(右)を医療機関・介護施設に提案
介護・福祉の文具マーケットcaps(キャプス)を展開する(株)タニシ企画印刷は,訪問介護事業所の介護記録の報告から請求データ作成までをLINE@〔LINE(株)〕で行えるクラウド型システム「テレッサmobile」を展示した。一般に普及し,日常的に利用されているLINEを用いることで,各種業務のICT化へのハードルを下げ,業務効率向上や経費削減に貢献する。テレッサmobileでは,メニューボタンからスケジュールやサービス概要,実施記録の確認,作業報告など,さまざまな介護記録業務を行えるほか,1対複数へのメッセージ送信なども可能。PCやタブレットから利用できる管理画面では,訪問介護に必要なすべてのデータを管理・運用することができる。
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LINE@を利用した「テレッサmobile」の画面イメージ