バリアンメディカルシステムズ,“Building oncology’s future”をテーマに「Varian Oncology Summit 2024」を開催

2025-1-17

バリアンメディカルシステムズ

放射線治療


Varian Oncology Summit 2024のメイン会場である東京会場の様子

Varian Oncology Summit 2024の
メイン会場である東京会場の様子

(株)バリアンメディカルシステムズは,2025年1月11日(土),放射線治療のエキスパートが同社製品やサービスの有用性などを報告する「Varian Oncology Summit 2024」を開催した。本イベントは,2024年8月の開催が予定されていたが,台風の影響で延期されていた。今回の開催に当たってはイベント名を変えずに,メイン会場の東京会場(TKPガーデンシティPREMIUM品川:東京都港区)から全国の6つのサテライト会場に中継する形で開催され,“Building oncology’s future”のテーマのもと,5つのセッションが設けられた。なお,2月3日(月)〜28日(金)までオンデマンド配信も行われる。

本イベントは,千葉大学の宇野 隆氏,(株)バリアンメディカルシステムズ代表取締役社長の渡邉隆史氏,シーメンスヘルスケア(株)代表取締役社長の櫻井悟郎氏によるOpening Sessionで幕を開けた。渡邉氏と櫻井氏から今回のプログラムの概要や見所が紹介され,宇野氏が各講演に対する期待などを述べた。

宇野 隆氏(千葉大学)

宇野 隆氏(千葉大学)

 

渡邉隆史氏(バリアンメディカルシステムズ代表取締役社長)

渡邉隆史氏(バリアンメディカルシステムズ代表取締役社長)

 

櫻井悟郎氏(シーメンスヘルスケア代表取締役社長)

櫻井悟郎氏(シーメンスヘルスケア代表取締役社長)

 

Session1「Varian Technical Updates」は,2つのテーマが設けられた。はじめに,京都大学の溝脇尚志氏(オンライン出演)が座長を務め,Case Western Reserve University / University HospitalsのLauren, E. Henke氏が「HyperSight Imaging and Clinical Implementation on TrueBeam」と題して講演した。バリアン社は,日本国内においては2023年から,新しいコーンビームCT(CBCT)システム「HyperSightイメージングソリューション(以下,HyperSight)」を搭載した放射線治療システム「Halcyon HyperSight」および即時適応放射線治療ソリューション「ETHOS Therapy HyperSight」を展開している。HyperSightは,大きなCBCTイメージングパネルとガントリ回転スピードの高速化によって,放射線治療装置「TrueBeam」の従来のCBCTよりも撮影時間を大幅に短縮できるほか,画像再構成アルゴリズムの改良などによって画質も大幅に改善されている。Henke氏は,HyperSightのこれらの特長を述べた上で,TrueBeamに搭載することで,より高品質な治療のシミュレーションが可能となり,治療時間が短縮するなど多くのメリットが得られると述べた。
次に,東北大学の神宮啓一氏が座長を務め,自治医科大学附属病院の白井克幸氏と根本幹央氏が「ETHOS Therapyが変える新たな放射線治療」をテーマに講演した。同院では,2024年4月にアジア・パシフィックで初めて,ETHOS Therapy HyperSightが稼働を開始した。白井氏は,HyperSightによってCBCTの撮影時間が約6秒と高速化し,強度変調放射線治療(IMRT)の治療時間が短縮したほか,HyperSightがもたらす高画質なCBCT画像は,即時適応放射線治療においても有用性が高いと強調した。また,根本氏は,HyperSightでは治療計画CTと遜色のない高画質なCBCT画像が得られると述べ,それを用いることで人工知能(AI)を用いた自動輪郭作成の精度が向上するほか,将来的にはワークフローのさらなる効率化にもつながるとの可能性を示唆した。

座長:溝脇尚志氏(京都大学)

座長:溝脇尚志氏(京都大学)

 

Lauren, E. Henke氏(Case Western Reserve University / University Hospitals)

Lauren, E. Henke氏(Case Western Reserve University / University Hospitals)

 

座長:神宮啓一氏(東北大学)

座長:神宮啓一氏(東北大学)

 

白井克幸氏(自治医科大学附属病院)

白井克幸氏(自治医科大学附属病院)

 

根本幹央氏(自治医科大学附属病院)

根本幹央氏(自治医科大学附属病院)

 

Session2「Customer Success」では,バリアン社とユーザーとの成功体験をテーマに2演題が設けられた。1演題目は駒澤大学の遠山尚紀氏が座長を務め,宇治徳洲会病院の石原佳知氏が「バリアンコミッショニングサービスを経験して〜ライナック,結果にコミットします〜」と題して講演した。バリアングローバルでは近年,「Advanced Oncology Solutions(AOS)」として高品質な治療や業務効率化などを目的としたさまざまなサービスの提供を行っており,その一つとして日本では2024年4月から,コミッショニングおよびマシンQAに関する医学物理サービスの専任チームによる「バリアンコミッショニングサービス」の提供を開始している。石原氏は,本サービスのテストサイトである前勤務先の南和歌山医療センターでのTrueBeamの導入経験を基に,コミッショニングの実際の流れや有用性などを報告。年間100件以上の実績のある専任チームと協力してコミッショニングを行うことで,正確かつ効率的な測定を短期間で実施でき,治療装置の更新に伴うダウンタイムを短くできるメリットは非常に大きいと述べた。
2演題目は飯塚病院の佐々木智成氏が座長を務め,九州医療センターの大賀才路氏が「Halcyon導入後の経験ーTBI実施へー」と題して,Halcyonを用いた強度変調回転放射線治療(VMAT)による全身照射(TBI)について講演した。旧治療装置使用時にはTBIの症例は他院に紹介していたが,Halcyon導入後,T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)再発症例などに対して自施設でTBIを実施しているとして,治療の実際を報告した。その上で,HalcyonによるVMAT-TBIの利点として,広い治療室は不要,照射部位の線量評価が可能,セットアップ・照射時間の短縮,自施設での実施による患者負担の軽減などを挙げた。

座長:遠山尚紀氏(駒澤大学)

座長:遠山尚紀氏(駒澤大学)

 

石原佳知氏(宇治徳洲会病院)

石原佳知氏(宇治徳洲会病院)

 

座長:佐々木智成氏(飯塚病院)

座長:佐々木智成氏(飯塚病院)

 

大賀才路氏(九州医療センター)

大賀才路氏(九州医療センター)

 

Session 3は「お客様参加型の特別企画」として,パネルディスカッション「Varianに物申す!!! 〜ユーザーエピソードを交えて〜」が行われた。パネリストとして,近畿中央病院の松井正典氏,関西医科大学の中村聡明氏,広島大学の村上祐司氏が登壇した。はじめに,同社が事前にユーザーから募集した「Varianとのこんな思いで」と題したエピソードが多数紹介された。続いて,各パネリストからバリアン社に対して,リニアックメーカーとしての姿勢や製品開発,人材育成などに関する提言がなされ,さまざまな意見が交わされた。

松井正典氏(近畿中央病院)

松井正典氏(近畿中央病院)

 

中村聡明氏(関西医科大学)

中村聡明氏(関西医科大学)

 

村上祐司氏(広島大学)

村上祐司氏(広島大学)

 

Session 4「One Healthineers Solutions」は,2演題が設けられた。バリアン社とシーメンス社の経営統合によって,がん治療においては診断から治療,治療後のフォローアップまでの一連の流れに必要な機器およびソフトウエアをソリューションとして提供可能となり,これをOne Healthineers Ecosystemと呼称している。本セッションでは,One Healthineers Ecosystemが医療機関にもたらすメリットなどが報告された。1演題目は山梨大学の大西 洋氏が座長を務め,浜松医科大学の中村和正氏が「One Healthineers Ecosystemは我々のがん治療をどう変えるか」と題して講演した。同大学では現在,シーメンス社の放射線治療用CTソリューション「SOMATOM go.Open Pro」と放射線治療計画支援プログラム「syngo.via RT Image Suite」,バリアン社のTrueBeam,体表面モニタリングシステム「IDENTIFY」,放射線治療計画システム「Eclipse」などが稼働している。中村氏は,それぞれの特長や同大学における活用などを紹介した上で,これらが一つに融合されることで,より精度の高いがん治療に結びつくとまとめた。
2演題目は弘前大学の青木昌彦氏が座長を務め,東京医療センターの萬 篤憲氏が「患者と病院にやさしいエコシステムー新ハイブリッド腔内照射術ー」と題して講演した。同センターでは,シーメンス社のDual Source CT「SOMATOM Definition」と,バリアン社のTrueBeam,小線源治療装置(アフターローダシステム)「BRAVOS」,Eclipse(小線源治療計画装置「BrachyVision」を統合)などが稼働しているが,本講演ではBRAVOSを用いた婦人科がんに対するシリンダ型ハイブリッド腔内照射術を中心に報告。BRAVOSを用いることで,鎮静・鎮痛下の画像誘導適応小線源治療(IGABT)を患者負担が少なく安全,簡便,低コストに実施可能であるとし,患者,医療者,病院にやさしいエコシステムが実現できていると述べた。

座長:大西 洋氏(山梨大学)

座長:大西 洋氏(山梨大学)

 

中村和正氏(浜松医科大学)

中村和正氏(浜松医科大学)

 

座長:青木昌彦氏(弘前大学)

座長:青木昌彦氏(弘前大学)

 

萬 篤憲氏(東京医療センター)

萬 篤憲氏(東京医療センター)

 

最後のSession 5「お客様と共に」では,「これからのVarianに望むこと」をテーマにパネルディスカッションが行われた。コーディネーターの北海道大学の青山英史氏のもと,慶應義塾大学の武田篤也氏(ビデオ出演)が「更なる臨床研究の加速」,東京都立駒込病院の室伏景子氏が「Varianとともに考えていきたいこと:災害対策としての社会実装の伴走支援」,昭和大学の伊藤芳紀氏が「更なる技術革新,臨床導入」,近畿大学の松尾幸憲氏が「教育訓練へのサポート」をテーマに提言を行い,さまざまな意見や要望などに対してバリアン社の渡邉氏が同社の見解や現在の取り組み状況などを述べた。

コーディネーター:青山英史氏(北海道大学)

コーディネーター:青山英史氏(北海道大学)

 

武田篤也氏(慶應義塾大学)

武田篤也氏(慶應義塾大学)

 

室伏景子氏(東京都立駒込病院)

室伏景子氏(東京都立駒込病院)

 

伊藤芳紀氏(昭和大学)

伊藤芳紀氏(昭和大学)

 

松尾幸憲氏(近畿大学)

松尾幸憲氏(近畿大学)

 

●問い合わせ先
(株)バリアン メディカル システムズ
マーケティング部
Email:[email protected]
http://www.varian.com/ja

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